若い子たちが「センス」を磨くためには、やっぱり一流のところに行きなさいってことですね。

－若い美容師さん、お店のスタッフに「センス」を磨くためのアドバイスをするとしたら、そのような内容になりますか。

若い子たちが「センス」を磨くためには、やっぱり一流のところに行きなさいってことですね。若い子に一流のところ行けって言ってもそれは無理だと思うんですけどね。でもさっきも言ったように、私も若い時に例えば一流ホテル、東京行けばあるじゃないですか。そういうホテルのロビーに座っているのはタダなんですよ。ロビーに座っているといろんな人が通るんですね。いろんな頭をして、いろんな恰好をして通るんで、そういうのを見るのも1つの勉強。美術館へ行っている方もいらっしゃるし。何でもいいと思うんですよ。外に出たほうが良い。どうしても今の子たちって、中にいがちなんで。外に行くことでいろんなものを見る。で、興味を持ってもらうことがいいんじゃないかなと思う。だから、お友達の中でずっといるっていうよりも外に飛び出していっていろんな人とお話ができれば1番良いかなと思います。そういう機会は自分で行かないと作れないと思う。まぁ勇気を出して行くっていうのも1つじゃないかなと思いますね。

－昔と今で美容師の考え方、美容師自体変わってきたと思いますか？

思います。やっぱりデザイン性がものすごく変わってきた。やっぱり我々だと、「え、これはないよな」っていう頭が出てきているんですよ。それはやっぱり頭が硬くなってきた証拠かなと思うんですけど、NOはないんだなっていう事ですよね。我々の時はある程度同じ頭だったんですよ。私が若い頃の時はみんな同じ頭していたんです。例えば聖子ちゃんが聖子ちゃんカットしたら、みんな聖子ちゃんカットにしたとか。ソバージュかけたらみんなソバージュになっていたとか。昔はそういう感じだったんですけど、今はそういう感じじゃないですよね。いろんなスタイルがいろんな形で歩いている。多様化しているんで、その多様化にスタッフ、若い子たちがついていくのは、多分すごく大変なんだとは思います。

僕らが最初に入ったときは、ワンレングス切ってソバージュかけてっていう。まっすぐ切ってパーマ巻けば良いという。そこから入っていってお客様に慣れていったんですよ。もちろん練習したりとかしますし、コンテスト出たりとかしますし。勉強していっていろんな切り方ができるようになってきたんですけど。今の子達って最初から、こういう風にしてくださいって言われる。最初から相当難しいスタイルがくるんですね。その辺は我々の時とは全然違うなっていう。それこそワンレングスのソバージュ、じゃぁ入れよって言ったってお客様誰もいませんよね。まっすぐ切ってパーマかければいいんだから大丈夫だよって言っても、そういう風な人がいないんで。その辺は多分僕たちがお客様に入った時よりも今の子たちの方が大変なのかなというふうに思います。お客様も、情報が多いんで、いろんなものを知っていますよね。ものすごい情報量ですよ。必ずスマホでこれって言ってきますから。

 －多様化するなかで、以前と現在とで美容師の取り組み方は変わってきますか？

変わってくるんじゃないかなと思います。ただ基本は一緒ですけどね。基本にあるものは全部一緒だと思うんですけど、枝葉がすごく多くなってきている。使うセット剤とかシャンプー剤とかそういうことまでも、我々の時よりも多くなっていますし、カラー剤にしても発色の良いものがすごく出てきているんで。かなり幅を持ってやっていかないと大変だろうなと思うし、逆に今はスマホとかパソコンがあるんで情報を受け取ることはできると思うんです。本人がその気があるかないかでその人の幅が広がってくる。今の子たちは大変だろうなって思います。僕たちの時は、やれって言われてやっていましたから。今やれって言ったらパワハラになるので(笑)。

僕たちはそういう面ではコンテストで技術を磨いてきたっていう所ですよね。今の子たちは、コンテストはあまりないんで。コンテストで磨くことが難しくなってきているのかな。僕らはお店からコンテスト、これ出ろあれ出ろっていうふうに言われたので、お店から言われたら出るしかないですよね。お金は自分たちで出さなくちゃいけないんで。お店は言うだけ。相当お金かかる、借金してやるような感じもあったと思うんですね。その辺は違うと思います。まだ自分でお金かけた分やっぱりその技術をものにしようとする力はすごかったですね、みんなガツガツしていましたね。それが今はない。