5.142021
vol.11 – Mue Hair&More 様
あとで「やっておけば良かったな」という後悔みたいなものだけは、技術に関してはしたくはないんです。
-日々どういう思いで仕事をされていますか?
手を抜かない。一生懸命やること。それしか思いつかないですね。自分自身が、あとで「やっておけば良かったな」という後悔みたいなものだけは、技術に関してはしたくはないんです。自分の中では最低レベルそこはちゃんとしようとは思っています。
―美容師として一番大事にしていることは何ですか?
飽きられないこと。
-飽きられないために取り組んでいることってあるんですか?
講習に行くことですかね。続けていくって、「変わっていこう」という気持ちが支えてくれるものだと思うんです。カットでもなんでも、ずっと同じだと飽きられてしまう。何より自分が飽きますしね。
この前行った東京の講習でも、私のカットってどちらかといったら力強いものになってしまう。そうではなく、「もっと柔らかかったり、可愛らしかったり、という違う切り口をもっと持ちなさい」って先生に言われるんですよ。きれいに切ることだけがカットではなくて。特に今って、切り込んで喜ばれる時代じゃないから。形にしても、先生が作るとほんとに「ああ、全然違うな」と。奥行きというか。先生がよく言う「引き出し」をたくさん持っておくことが大切だと。若いわけではないから、たとえ毎日それをやっていなくても、ポンって投げかけられたときにそれを出さないといけない。そういうものをたくさん持っておきたいなと思うので、勉強しに行きます。
この前もそうやって怒られて。「あー、あー」って思いながら帰ってきたんですけどね(笑)。月に1回は東京に習いに行っています。もう10年近く行っているんですけど。でも、うまくなっていないです(笑)。
-大阪周辺では講習はないのですか?
私が習っているレベルの先生たちが大阪には来ないです。大阪とか地方に来る人たちはもっと下の若い人たちが来ているんです。それでも良いんですけど。
もともと、前の会社に入社したときに、大阪でやっている有名店の講習に無料で行かせてくれたんです。1年間くらい行かせてもらった。もっと学びたいなと思ったときに、「東京の講習は、講師陣が全然違う」と聞いて、東京に行き始めました。
-美容師として、「技術のレベル」をどう捉えていますか?
ここに来るお客様たちがいつも言ってくれるのは、「文野さんが切るとなんか違う」、「他の人に切ってもらうのと何かが違う」って言ってくれるんですよ。何かが違うのは、私はだいたいわかっているんです。それは先生に習っているんで。「みんなはここが切れていない」、「普通にカットしていたら絶対ここにはハサミを入れない」っていうことがあります。襟足だったりもみあげだったり、箇所箇所あるんですよ。そこにちゃんとこの角度でこういうふうにハサミを入れているからそういうフォルムになる、締まる、みたいなものを知っているか知っていないかでカットって全然違うんです。
私は、曲がりなりにも長く講習に行っているんで実践できているんです。でも、講習に行くと、もっと前があるんですよね(笑)。それは先生の好みなのかもしれないけど、確実に今の自分にはないものだから、素直にそれをできるようになりたいと思います。それができるようになることでうちのお客様がもっと幅の広がるヘアスタイルになると思うから。その領域に行きたい、けど行けないみたいな(笑)。それはセンスなのか、なんなのかは、知りたくないから考えないんですけど(笑)。
自分でやるようになって、腰を据えてカットをすることもできるようになった。前はほんとに「数」をこなしていたので。だけど今は、もうちょっと「ここ」っていうところにはハサミを入れられるようになった。自分の中ではちょっとイケてるかなって思うんですけど、東京に行くと撃沈されるっていう(笑)。1ヶ月に1回はブラッシュアップできています。
-文野さんにとって「美」とはなんですか?
「気持ちが動く」というか、「心が動くもの」かなって思います。きれいな人や素敵な人って、ホントその人にしかない美しさみたいなものがあるんですよね。それってたぶん、人と違う何か努力みたいなものをされているんだろうなっていう気がします。そんなに簡単には手に入らなそうな感じですかね(笑)。
なんだろう、感動させるもの?いつも空見てもきれいだなって思いますし、そういう意味では、ハッとするようなこととかうっとりするようなこと、気持ちが動くことが美しさかなと思います。