大体そういうお悩みがある方っていうのは、カウンセリングをしっかりされていない美容室に行かれているパターンが多いんです。

－どのような年代のお客様が多いですか？

現状は30代前半から50代前半までの方が大体7割くらいですね。その他は小さい子からかなり年配の方までばらばらですね。

－どのようなお悩みが多いですか？

一番うちのお客様の中で多いのが、髪の毛にくせがある方。他店で髪の毛の長さを切ってもらえない方。あとは縮毛矯正をずっとかけているんだけど仕上がりに納得ができない方が多いです。

－そういう方々にどう対応されていますか？

大体そういうお悩みがある方っていうのは、カウンセリングをしっかりされていない美容室に行かれているパターンが多いんです。カウンセリングに時間をかけるようにしています。

－八鍬様はこれまでいくつかのお店を経験されていますが、カウンセリングが不足しているって感じますか？

そうですね。スタッフ数が多いお店だったりするとスタイリストはカットだけでアシスタントに全部任せるっていう状態も増えてくると思うんです。人数が多いお店、低単価で人数を多くこなさなきゃいけないお店だと、カウンセリングの時間がかなり短縮されてくる。よく聞かないまま施術してしまって失敗するっていうパターンは多いと思います。私もそういうお店にいたこともあります。

－独立してからカウンセリングを重視されている。お客様の反応として驚かれることもあるのではないですか？

驚かれる方はそんなにいらっしゃらないんですけど、意外と皆様お話をしたがります。カウンセリングをしてもらいたいっていう。「適当でいいわよ」っていう方はほとんど常連さん。ずっと担当している方以外は大体カウンセリングは長い方が多いですね。

大型店と言われる、チェーン店って、スタイリストとアシスタントという関係性からなっていることが多いんですね。アシスタントがシャンプーをする、スタイリストはカットする。その他カラーリングやパーマの補助をアシスタントがするんですけど、全部私1人でやっているので、普通だったら分担するところなんですけど、その間もずっとお話をしているわけです。その方に携わる時間が普通の美容室の倍から3倍くらいあるので、最初ってカウンセリングであまりお話されなかった方もあとから出てきたりするんですよね。そこでアシスタントの子に代わっていたりすると、お客様って話しづらい。アシスタントの子だからって思っているから言わないこともたくさんある。だけど私は1人でやっているから、最初ちょっと口下手な方もどんどん出てくるんですよね、あとからあとから。そういえばこうだった、前デジパーかけたときに嫌な思いしたとか。自分でも意外と意識していないところですごく感じている悩みを、心開いていくにつれ話してくださる方が多いです。大体の方はあとから出てくるパターンが多いですね。

－最初は表面的なお悩みしか言わなくて、心を開くにつれて話すお悩みが変わることってありますか？

あります。結構多いです。普通の話をしていて、ポツリとちょっとずつ出てくるんですよね。気になったらそこから深堀していくと、実はここが本当は原因だったんだっていうのがあったりします。

－他のお店で嫌な思いをしている方も多いんですかね。

多いですね。意外と多いのが、ずっと難民している方。決まらずにいろんなところを渡り歩いて、だから来てみたっていう方も多いですね。

－難民している方は、どこの部分がしっくりこないんですかね？

たぶん、施術もある程度は大事だと思うんですけど、大多数が「接客」だと思っています。気に入らないっていうのは、その美容師の態度が悪かったとか、受付行ったときに受付の人の態度が悪かったとか、話を聞いてもらえなかったとかが多い気がします。施術は意外とこだわる方はこだわりますけど、接客の方が比重が高いのかなって。歳を重ねれば重ねるほど。

－多くの方は最終的に人で選んでいるのではと思います。

そうですよね。私自身も結構人で高いものは買うって決めているので。車だったり、高い家具だったり。接客を見ちゃうところがあって。なんだかんだいってついてくださる方ってたぶん内面じゃないけど人柄みたいな。相性がある仕事なので。こればっかりは誰かが悪いとかではなくて、その方と合うかどうか。そこだと思います。

－新しくお客様がいらっしゃるときに見るポイントはどこですか？

お話をすごくしたいのかしたくないのかって結構考えます。ただ、この環境だからか意外と大体の方がお話されて、大体というかほぼ100%くらい（笑）。みなさんお話をしていて、本も読まない方が多いですね。周りに他のお客様がいると話しづらいということもあるみたいです。それは言われました。

「大きいお店に行っていて、話しかけられたくない」っていうお客様のお嬢様がいらっしゃって。話しかけられたくないっていう話を事前に聞いていたので、あんまり話をしない方がいいのかなって最初は控えめにしていたんです。でも、すごく話す（笑）。「あれ、話して良いのかな？」と思ってずっとしゃべって帰ったんです。話し過ぎちゃったかなって反省したんですけど、後日お母さまから、「周りがいないからすごく話せて良かったって言ってたよ」って。環境的なものでしょうね。やっぱり、横の人が聞いているとか嫌ですよね（笑）。恥ずかしいですよね。変な話ができないみたいな。

－なおさら悩みも言いづらくなってしまうかもしれないですね。

そうですね、そう感じる方も結構少なくないかもしれないです。悩みを聞かれて恥ずかしいっていう感覚を持っている方は意外といらっしゃると思います。すごく控えめにあとから言う方もいるので。たぶん嫌なんだろうなって。言いたくないんだろうなっていうことは多々ありますね。

うちのサロンに来る方は共感してもらいたい方が多いかもしれないですね。男性美容師さんはもちろん技術面はとっても上手だけど、同性ではないからきっとわからないところもありますよね（笑）。私も男性の気持ちがやっぱりわからないので、メンズカットが苦手なんです。短くしたことはないし、刈り上げが伸びるとかわからないし。そういうところは自分は女なので同じような髪形にしたことあるからわかりやすいかもしれない。