技術は基本的にはやればできる。でもたぶん接客って意識をしないとできないと思うんです。

－「接客」というのがキーワードという印象を受けました。

キーワードですね。caroっていう「家族」とか「大切な人」とか、そういう人に対して嫌がらせってしないじゃないですか、絶対に。助けるし、助けられるし。そういう関係ですよね。それが「接客」っていう括りで言うんであれば、そこを重点としているというところはありますね。

面接をするときに、技術はまあどうでもいい。どうでもいいっていう言い方は変なんですけど、それは自分で努力すればいくらでも上がっていける。ただ接客って、意識をするっていうのはあるのかもしれないですけど、そこがダメだったらもう基本的に美容師やらない方がいいかなって思うんですよね(笑)。よくいるじゃないですか、コンビニで「いらっしゃいませ」も言わない、「ありがとうございました」も言わない、無言でビニールに入れて手渡す。嫌だったら辞めちゃえばいいのになって思うんですよ。もっと自分に向いているものがあるんじゃないかなって思っちゃうんですよ。なんでわざわざ接客業選んだのかなって。居酒屋さんもそう。それしか働けないってことはないじゃないですか。もっと一人で寡黙にできる仕事なんかいっぱいあるし。

－接客力は、自分で伸ばすものというよりも、ある程度は自分に合ってないと伸びないっていう考えですか？

そうですね…、自分に関しては、すごく人のことが気づく。相手の思っていることがすぐわかっちゃう。それはもう自分の天性だと思っています。ある意味人目を気にしているってことですかね、悪く言っちゃうと(笑)。そういうのが意識しなくてもできちゃう。ただ意識しないでできちゃっていても、自分はそれが当たり前だと思っているんで。

自分じゃない人に置き換えたとしても、そういうふうにやっていた方が良いものだと思いますよね。だから、良いものだと思うことは絶対にやったほうが良い。さっきも言ったみたいに、技術は基本的にはやればできる。でもたぶん接客って意識をしないとできないと思うんです。意識をしていても人を傷つける言葉を出しちゃったりとか、気になること言っちゃったりとか。そういうところはあっても、自分で修正していくというか、自分で育てていくところはあるかもしれないですよね。思っていても行動に起こさなかったら良い接客はできないと思います。

－お客様のちょっとした変化に気づける「センス」はどうやったら磨けると思いますか？

「相手を大切に想う」っていう、それに限るかなと思いますね。コンセプトがそこでリンクしてきますよね。

－サロン経営で一番大事なところはどこですか？

「お客様のために」っていうところですよね。お客様が一番楽しめるようなお店作りしかないですよね。

－今後の方向性はどうお考えですか？

方向性は、お客様のために、お客様が喜ぶような。美容室っていうよりかは、caroやcaro legamiに来て、面白いなとかワクワクするなっていう時代に合ったものをピックアップして提供していく。そういうものを常に取り入れるためにアンテナを自分たちが張っていく。

－2020年9月にオープンしたcaro legamiもその延長線上にあると。

そうですね。結局この店って何なのかっていうと、caroの別館なんです。caroは基本的に美容室なので。こういう物販などを置くスペースもない。ちょっと日々忙しいので、カラー・カット2時間で終わらせなきゃいけないっていうのに日々追われてしまっている。しっかりやっているからこそ時間がない。1から10まで自分たちで一生懸命やっている分、時間がないので、その中でプラスアルファでお客様に費やす時間を持てるかっていうとそこができてないんです。それを別館で、100%の力で物販やネイルとか、ちょっと楽しめる空間を作ってそっちにパスするみたいな。caro legamiは基本的にはセレクトショップです。何にでも変われる。美容室にもなるし。お客様が求めるものに多分どんどん変わっていくんじゃないかな。そういう求めているもの、需要のあるもので変化していくと思います。

－コロナ禍でよく思い切ったなという印象がありましたが。

外に出るとヤバイというようにもっと深刻だったら、たぶんやっていなかったと思います。でも、caroは動いていたから。4月の緊急事態宣言でも売上的には2割しか落ちなかった。5月から少しずつ回復していたんです。動きが止まってなかったからcaro legamiを出したんです。caroの動きが止まっていたら出さなかったらもしれないですね。caroの別館を前から作りたかったんですよ、お客様のためにも。